アリスには赤い薔薇を 猫には白兎の首を




去年の薔薇は
綺麗な真紅で
滑らかな手触りが
心地よかった。



あの赤い花
赤い薔薇……




忘れられる
ことが出来て?



あれほど
素晴らしい赤は
初めて見た。





「いいこと?
今年も赤い薔薇を
咲かせるわ」




「はい……」



世話係りの人は
ブルブルと
体が震えていた。




「そうそう、
去年は……」



「はい?」


何にも
聞き逃しては
いけない。


世話係りは
必死だった。



汗がだらだらと
吹き出る。




一方はソファーに
ゆったりと座り
肘掛けに頭を
のせてリラックス
モードだった。




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