アリスには赤い薔薇を
猫には白兎の首を
膝から出ていた
血は止まり
赤く痛々しい傷以外
膝はきれいになった。
アリスは思い出す。
お姉ちゃんが言っていた
言葉
『傷なんて舐めれば
すぐに治っちゃうわよ』
舐めてみようか?
「……痛いかなぁ?」
傷は少し乾き始めて
いたけれど
指でつつくと
赤い血がちょっとつく。
傷がぴりぴりと
痛んだ。
舐めたら、痛い。
アリスは舐めるのを
止めた。
痛いのは、嫌。
ぎゅうと体を
縮こませる。
「痛いのは
生きている証なのに?」
男の人の、声。