アリスには赤い薔薇を
猫には白兎の首を
気が重い
行きたくない
行きたくなかった
でも時は無常にも
進み続け
私たちの足も
歩き続け
チェリシィの親切心を
無駄にも出来ず
花の森に私たちは
足を踏み入れた
森は鬱蒼と
している
入り口近くには
花たちはいない
まだ、安心できる
「ふぅ……」
小さく、短く
息を吐いた
チェリシィに
ばれないと
いいなと
思って
「疲れた?」
チェリシィには
聞こえてしまった
らしい……
猫らしく
見えないけど
やはり猫
聴力は
人よりある
「う~ん?
ううん、大丈夫」
心配させたくない
迷惑になる
「僕は疲れた
休もう」