横顔の君




「久しぶり~!」

「まどか、ちっとも変ってない!」



それからしばらくして、私達は久しぶりの再会を果たした。
まどかには変わってないって思わず言ってしまったけど、本当はやっぱり変わってた。
それは悪い意味ではなく、なんというか大人の妖艶さや落ち着きみたいなものが加わって、ますます綺麗になってたんだけど…



「紗代、大人っぽくなったね!」

「当たり前でしょ!もう三十路過ぎてるんだから…」

「うん、とっても良い感じに年取ったよ。
素敵な大人女子になってるよ。」

私がまどかに対して思ってたことを、彼女が私に言ってくれた。



「まずは家に行こうよ。
……あれ?それにしても、一泊とはいえ荷物少ないね。」

「うん、どうせ買い物するから、持って来るのは必要最小限にした。
そうでないと、帰りが大変だからね。」

「そっか、それじゃあ、別に家に行かなくても良いか。
このまま買い物に行く?」

「まずはランチでしょう!
腹が減っては戦は出来ぬってね。
紗代!私、行ってみたいお店があるんだ」

まどかはバッグの中をごそごそして、週刊誌みたいなものを取り出した。



「ここ、ここ!」

週刊誌を開いて、まどかはあるページを指差した。



「あぁ、このお店なら知ってるよ。
だけど、いつもすごい行列だよ。
相当並ばないと入れないから覚悟してよ。」

「うん、わかってる!」

私達は、パンケーキのお店に向かった。
いつもすごい行列だから、いまだ入ったことのないあのお店だ。



行列に並ぶのは嫌いだけど、まどかとおしゃべりをしてたら、意外に苦にはならなかった。



「わぁ、すご~い!」

まどかは運ばれて来たド派手なパンケーキを、パシャパシャと手慣れた様子で写しまくる。
なんでも、SNS用の画像らしい。
私はそういうのはやってないけど、せっかくだからお母さんや照之さんに見せてあげようと思って、便乗して写した。


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