横顔の君
「あぁ、お腹いっぱい…そろそろ帰る?」

「まだだって。
この後は、スイーツ食べて、それから…」

「えーーっ!お腹いっぱいでスイーツなんて入らないよ。」

「じゃあ、そのあたりをうろつこうよ。
まだ見てないお店もあるし。」

本当にまどかはタフだと思った。
私は多少疲れてもいたし、足も痛くなってたっていうのに、まどかはそんなそぶりは少しも見せない。



このあたりのお店は軒並み10時まで開いてる。
スーパーや食べ物屋さんは、もっと遅くまで開いてる。
だから、時間はまだ十分にあった。
まだのぞいていなかった店をひやかし、スイーツを食べてようやく人の波が少なくなった頃、私はまた同じことを口にした。



「まどか、そろそろ帰ろうか?」

「何言ってんの。
夜はまだこれからよ。」

「え?」

「次はバーに行くよ。」

それは全く予想していなかった言葉だった。



「まどか、お酒飲めるの?」

「はい、こう見えても未成年じゃないので…
って、紗代は飲まないの?」

「う、うん、あんまり…」

「そっか…残念だな。
じゃあ、少しだけで良いから付き合ってよ。」

「うん、いいよ。」



夜も更け、あたりは煌びやかなイルミネーションに彩られていた。
とてもロマンチックな雰囲気なせいか、カップルが多い。
身を寄せ、仲睦まじく歩くカップルを見ていたら、私も照之さんと来てみたいと思った。
だけど、照之さんは早寝だから夜のデートはなかなか難しそうだ。



「紗代、ここで一枚写して。」

イルミネーションの前で、まどかの画像を撮影し、次には二人並んで撮った。



「良い記念が出来たよ。ありがとうね。」

「こちらこそ、その画像、後でLINEで送ってね。」

「了解。さて、次はあそこね。
あの店、芸能人とかもけっこう来てるらしいよ。」

「そうなんだ?」

私は、まどかの行きたがってたバーに向かった。
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