横顔の君
これから私達は結婚に向かって歩んでいく…
そして、この長い人生を一緒に過ごしていくことだろう。
いつの日か、素直に話せるだろうか?
本を読む、真剣な横顔に一目惚れしたってことを…
それとも、そのことはずっと黙っておいた方が良いのだろうか?
「紗代さん…今日は外で食事しませんか?」
「だったら、照之さん…
うちに来ませんか?
腕をふるいますよ。」
「良いんですか?」
「ええ、もちろんです。
でも、またお母さんのおしゃべりが止まらなくなって、引き止められてしまうかもしれませんが…」
「かまいませんよ。」
私達は、手を繋いで家を目指した。
これから先、私達にどんなことが待ち受けているのかわからないけれど、どんなことがあっても大丈夫だ。
この人といれば、どんなことだって乗り越えていけるから…
「あ、紗代さん…
『水面』の芸人さんが二作目を出すの知ってますか?」
「いえ、知りませんでした。」
「来週の金曜日に発売なんですよ。楽しみですね。」
いつか、この人に聞いてみようか。
私と本、どっちが好きか?って…
この人はきっと困った顔をして、言葉に詰まるだろう…
「あ、もうお月様が出てますよ。」
照之さんは、空を見上げて微笑んだ。
この穏やかで屈託のないこの人と、いつまでもこんな風に他愛ない会話を交わしたい。
夕暮れ空にうっすらと姿を見せた三日月に、私も静かに微笑んだ。
~Fin.
そして、この長い人生を一緒に過ごしていくことだろう。
いつの日か、素直に話せるだろうか?
本を読む、真剣な横顔に一目惚れしたってことを…
それとも、そのことはずっと黙っておいた方が良いのだろうか?
「紗代さん…今日は外で食事しませんか?」
「だったら、照之さん…
うちに来ませんか?
腕をふるいますよ。」
「良いんですか?」
「ええ、もちろんです。
でも、またお母さんのおしゃべりが止まらなくなって、引き止められてしまうかもしれませんが…」
「かまいませんよ。」
私達は、手を繋いで家を目指した。
これから先、私達にどんなことが待ち受けているのかわからないけれど、どんなことがあっても大丈夫だ。
この人といれば、どんなことだって乗り越えていけるから…
「あ、紗代さん…
『水面』の芸人さんが二作目を出すの知ってますか?」
「いえ、知りませんでした。」
「来週の金曜日に発売なんですよ。楽しみですね。」
いつか、この人に聞いてみようか。
私と本、どっちが好きか?って…
この人はきっと困った顔をして、言葉に詰まるだろう…
「あ、もうお月様が出てますよ。」
照之さんは、空を見上げて微笑んだ。
この穏やかで屈託のないこの人と、いつまでもこんな風に他愛ない会話を交わしたい。
夕暮れ空にうっすらと姿を見せた三日月に、私も静かに微笑んだ。
~Fin.