横顔の君



家に帰り、ほっとしたはずなのに、また私の鼓動はどきどきする。
だって、もしかすると、この中には……



私は、一冊ずつ本の中身を確かめた。
メモが入ってないことがわかると、安心と落胆を同時に感じた。
神経をすり減らしながら何度も何度もそんなことを繰り返し…
もしかしたら、あれはやっぱり照之さんからのメモじゃなかったのかも…
九冊目に何も入っていなかった時、そんなことを思った。



諦めの境地で探した十冊目……



「あっ!」



私はその中に、小さな四つ折りのメモをみつけた。
やっぱり入ってた…
私は恐る恐る、そのメモを開いた。



『癒されてるのは僕の方ですよ。
吉村さん、僕はあなたのことが好きです。
こんな手段でしか想いを告げることが出来ないふがいない僕を、どうかお許し下さい。』



メモの文字が揺らいで見えた。
信じられなくて…本当に嬉しくて…
胸がいっぱいになって、私はそのまま声を上げて泣いてしまった…


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