横顔の君
*
「こ、こんばんは。」
「あ、こんばんは。」
照之さんがさっと視線を逸らして俯いた。
きっと、あの人は気付いたんだ。
私があのメモの返事を持って来たことに……
「今日は、本を売りたくて…」
数日後、だいぶ前に買ったファンタジー小説を私は鏡花堂に持ち込んだ。
中には当然メモがはさんである。
『私も、隠岐さんのことが大好きです。』
これだけでは短いかと思い、あれこれ考えたけど、結局、良い言葉がみつからずに、私はこれだけを伝えることにした。
「470円で買い取らせていただきますね。」
「はい、ありがとうございます。」
私はお金を受け取ると、逃げるようにその場から立ち去った。
顔から火を噴きそうに熱い…
照之さんはきっとすぐにあのメモに気付くはずだ。
そしたら、どういう反応があるんだろう?
喜んでくれる…?
それとも…?
次から次にわきあがる想像を吹き飛ばすかのように、私は、思いっきりペダルに力を込めた。
「こ、こんばんは。」
「あ、こんばんは。」
照之さんがさっと視線を逸らして俯いた。
きっと、あの人は気付いたんだ。
私があのメモの返事を持って来たことに……
「今日は、本を売りたくて…」
数日後、だいぶ前に買ったファンタジー小説を私は鏡花堂に持ち込んだ。
中には当然メモがはさんである。
『私も、隠岐さんのことが大好きです。』
これだけでは短いかと思い、あれこれ考えたけど、結局、良い言葉がみつからずに、私はこれだけを伝えることにした。
「470円で買い取らせていただきますね。」
「はい、ありがとうございます。」
私はお金を受け取ると、逃げるようにその場から立ち去った。
顔から火を噴きそうに熱い…
照之さんはきっとすぐにあのメモに気付くはずだ。
そしたら、どういう反応があるんだろう?
喜んでくれる…?
それとも…?
次から次にわきあがる想像を吹き飛ばすかのように、私は、思いっきりペダルに力を込めた。