嫌いじゃない。
とある作戦
芹沢side
それは突然だった。
佳主馬と部屋でのびのびと過ごしていたら、母親が俺の部屋をノックして荒い声で言った。
「遥っ!佳主馬君っ!大変よ!杏里ちゃん、アメリカから帰ってきてあなた達と同じ学校に通うんですって!」
杏里……
「もしかして杏ちゃん?!」
杏ちゃんかぁ…懐かしい…
家庭の都合で小学校卒業後、アメリカに越してたんだけど…そっかぁ。
「かず君にはる君久しぶり!」
玄関へ向かうと笑顔で挨拶してくれた。
「まあまあ。遥、部屋に案内してあげなさいよ」
「はい。どうぞ。汚くてごめんね?」
少し申し訳なく思って軽く部屋を片付ける。
「ねぇ、はる君って瑞穂先輩って人が好きなの?」
ニヤニヤしながら杏ちゃんが聞く。
「なぜっ?!」
なになに?なんで知ってんの?
エスパー?!
「だってこれ…」と机の上の写真を指差しながら言った。
「あーーーーー!!」
体育祭の時の…っ
無理矢理ツーショットさせてもらったときの写真〜っ!ちょっと恥ずかしい…
「この人凄い可愛いねー!私と同い年かな?」
「うん…そうだよ」
「もし片思いなら私協力してあげようか?もしかしたら、その子と同じクラスになれるかもしれないし」
きょ、協力って…
「押してダメなら引いてみろ」
佳主馬が突然言い出す。
「かず君ナイスアイデア!はるくんの押しが強いんなら、たまには引いて見るのもいいかもね?ネットでも評判いいらしいし」