嫌いじゃない。
溜め息をつきながらシナリオをペラペラとめくっていたら、後ろから誰かに奪い取られる。
「しばらく様子がおかしいと思っていたら…そういう事だったんだね」
「別に矢澤には関係ないし。勝手に人の教室に入って来ないでー」
「芹沢君がそういう作戦を立ててるうちに、俺がいつの間にか持ってっちゃうかもしれないね」
「俺がそんなことさせる訳ないっしょ?」
「そう?俺はデートの件だってあるし。ていうか今日だってプチデート行くしね。スイーツバイキングなんだけど」
プチデート?スイーツバイキング?ふざけんな。
「勝手に行けば?俺も行くけどね」
俺が睨みながらそう言うと、「怖い怖い。それじゃお互い頑張ろうね。」と最後まで笑顔で対応してきた。爽やかうっざいわー。
「俺の方が先輩への愛は強いもんねー」
ベーっと舌を出して見送る。
PRRRR…PRRRR…
「はーい。もしもしー?」
『はる君、今日スイーツバイキング行かない?瑞穂ちゃんと爽やかな人、一緒に行くらしいよ』
流石杏ちゃん。よく分かってる。
「よろしくお願いします!」
『じゃあシナリオ13ページからあとで練習ね!』