嫌いじゃない。
瑞穂side
芹沢が私のところに本当にやって来なくなった。




まぁ当たり前か。私、芹沢に酷い事いっぱい言っちゃったし。きっと呆れたんだ。



"瑞穂先輩!"



芹沢の声が心の中で蘇る。もう二度とあのとびっきりの笑顔で、私の名前を呼ぶことなんてないんだろうな。



別に呼んでほしいわけじゃないけど。



そんな事を昨日からずっと思っていたら、気分がとても悪くなった。




授業全然集中出来なかったし。今日の事を反省しながら、帰る支度をして1人で廊下をトボトボ歩く。



有紗さえいてくれれば良かったのに…
風邪で休みなんて。馬鹿なのに。



そう失礼な事を思っていたら、前からこちらに歩いてくる人の姿がみえる。

芹沢だ。



私のことなんて見向きもせずに横を通り過ぎていく。すると自然に私の口から「芹沢。」と言葉がこぼれた。


思わず呼び止めてしまったが…私はアホなのか。



「なに?」



「なんでも…なぃ。」
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