音ちゃんにお任せ
「・・・パンですか?」
「・・・」
返事をするのも煩わしそうにパンを口に含む。
まぁ、パンですかって見ればわかることですし。
「・・・座れば?うっとおしいんだけど」
一ノ瀬くん、いちいち言葉が傷つきます。
私は肩を落としながらその場に座る。
私は、なにをしているんだろう。
「空が、近いですね」
少し上に来ただけで空が近くなった気がする。
青く澄んだ空は、とても綺麗で・・・。
「俺の、一番好きな場所だ」
囁くように聞こえた一ノ瀬くんの声は、この空のように澄んでいた。
やっぱり、一ノ瀬くんは悪い人じゃない。
「あんた、昼どうすんの」
「え、あ!」
結局私は、お弁当を食べそこねてしまったのでした。