音ちゃんにお任せ
迷子の女の子の事情
一ノ瀬くんの小さな秘密を知りました。
階段を上った先にある秘密の扉の向こう。
青く澄んだ空の下、まるで一ノ瀬くんの秘密基地みたい――――――。
「うああああん!!!」
学校帰り、少し買い物をして遠回りをして帰っていた時のこと。
閑静な住宅街で、不釣り合いな泣き声を聞きました。
それも、小さな子どもの声みたい・・・。
声をたどっていくと、小さな女の子が声をあげて泣いているのを見つけた。
目をごしごしとこすりながら涙を流すその女の子に慌てて駆け寄りしゃがみ込む。
「あの、どうしたの?」
「ふえっ」
声をかけるとピクリと泣くのをやめ、涙でぐしゃぐしゃの顔を私に向ける。
タオルでそっとその涙と、ついでにはなみずも拭い去り優しく笑いかける。