音ちゃんにお任せ
おかゆを口に運ぶ。
できたてで温かくて、おいしい。
「おいしいです・・・」
「ん。それはよかった」
「おいしいっ」
「はいはい」
止めたはずの涙がポタポタとおかゆの上に落ちて。
本当に感情が、どうかしてしまったみたい。
「どうして、一ノ瀬くんはっ・・・」
「・・・ん?」
「こんなにも、本当は優しくてっ、温かい人なのに・・・違うような振りするんですか?誰にも興味ないような、深くかかわろうとしないんですか?」
わかってほしいのに。
皆に、一ノ瀬くんの本当の姿。
誤解してほしくないのに。
「もったいないです、こんなにも。こんなにも、素敵をいっぱい持ってるのに」
「・・・そんなのは、わかる人がわかってればいい」
「え・・・」
「あんたがわかってんだから、それでいいんじゃねぇの?」
一ノ瀬くんは、わかりません。
なにを考え、なにを想い、そういうのか。