音ちゃんにお任せ



「気分は」

「・・・頭が痛いです・・・」



朝、様子を見に行き体調を聞くが、相変わらずの様子。
汗をかいたままだったのがいけなかったのか。



「今日は休め」

「・・・はい」

「昼に、様子を見に帰ってくる」

「えっ、そ、そんな。今日こそ帰ります」

「うるさい、黙れ、大人しくしてろ」




人の事はいろいろと世話を焼くくせに、自分のこととなるととことん遠慮の塊だ。
綾瀬音、つくづく変な女。




「・・・すいません・・・」

「俺の服・・・」

「はい?」

「・・・いや、なんでもない」





普通に貸せばいいだろう。
着がえは必要だ。
いや、でも。

ふゆは今日も帰らないらしいんだからその方がいいに決まっているんだ。




でも、なぜかためらってしまう。





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