音ちゃんにお任せ
華野が帰ってくるまでアパートの前で待つ。
俺は、本当にいったい何をしているんだ。
そもそも、冬に連絡を取って帰ってきてもらえばよかったんだ。
せっかく、友だちと羽目を外して遊んでいるのに、なんてらしくもないことを考えたのが間違いだった。
あいつへの説明は面倒だし。
いちいちうるさい。
やっぱり、失敗だった。
「持ってきたけど・・・、なんで音いないのかな。一ノ瀬くん、なんか知ってるの?」
「行くぞ」
「え?行くってどこ」
華野の事は放っておいて歩き出す。
俺らしくもない。
あいつのことになると、俺らしくないことばかりだ。
でも今は、病人なんだから仕方ない。
終わったら、いつもの通り、当たり障りのない日々に戻る。
それがいい。