音ちゃんにお任せ
「あの、未江ちゃん。一ノ瀬くんは、本当は悪い人じゃないです。優しくて、兄妹想いの、いい人なんです」
「音はそういうけどさ、口が悪くて、目つきが悪いっていうのは本当でしょ?確かに、看病もしてくれてるみたいだし、根っからの悪人ってわけじゃないんだろうけどさ」
「はい・・・」
「でも、噂が上がるのは、それなりの理由があるってこと、そこは理解しなきゃ」
「・・・そうですよね」
一ノ瀬くんの態度が、余計にその噂に信ぴょう性を増していく。
噂が独り歩きして、それでも、あの一ノ瀬くんだからとそれが本当のように言われて。
「ごめん。体調悪いのに。もう寝なよ」
「・・・すみません」
「ううん。・・・私が勝手に心配してるだけだからね。音には幸せになってほしいから」
「はい・・・」
未江ちゃんは優しいです。
そして、温かい。
いつだって、私の事を想って言ってくれていることは伝わってきます。
だからこそ、一ノ瀬くんの優しさを未江ちゃんにも知ってほしい。