音ちゃんにお任せ



女の子の名前は、ことみちゃんというらしい。
3歳のわりに、しっかりしている子だな、と思う。



「おかゆか何か作りましょうか・・・」



お姉さんが熱で動けない状態なら大変です。
それに、琴心ちゃんにも何か食べさせてあげないと。


使命感に駆られいろいろと買い物を澄ますと私は琴心ちゃんの家に向かうため交番に向かう。
教えてくれるだろうか。




「あ!このみち、ことしってる!」

「え?」

「こっちだよ!おねえちゃん!」




見知った道に出たのか琴心ちゃんは私を引っ張って歩き出す。
よかった、と肩をおろし、琴心ちゃんについて歩くと、一軒家の前で立ち止まった。

住宅街の中に並ぶ一軒家の中にたたずむその家を見上げる。



表札を見ると“ichinose”とおしゃれに書いてあった。
いちのせ・・・。



どこかで聞いた名前・・・。
なんて思いながら琴心ちゃんに引っ張られる形で中に入った。
中は、カーテンが閉め切られていて薄暗い。
時間ももう夕方から夜に変わろうとしている頃だから余計。




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