音ちゃんにお任せ
私は、一ノ瀬くんの部屋に来ております。
下には琴心ちゃんと結斗くんがいて賑やかで、集中できないから、との一ノ瀬くんの配慮です。
熱の時以来の一ノ瀬くんのお部屋。
相変わらずシンプルで、あまりごちゃごちゃとものが置いていないお部屋です。
「まず何からする」
「えと・・・、では、数学から」
「とりあえず、追試対策でいいんだろ?」
「はい!」
ローテーブルに向かい正座で座る私の斜め横に座り、教科書を捲っている一ノ瀬くん。
真剣な眼差しが、かっこいいです。
「とりあえず、今回のテストもう一回解いてそれでもわからなかったところを教える」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ、解いて」
渡された紙。
私は、問題用紙とにらめっこしながら問題を解いていきます。
一ノ瀬くんは離れたところで椅子に座り本を読んで待っています。
静かな空間に、私のシャーペンが神の上を走る音だけが聞こえます。