音ちゃんにお任せ

｢・・・兄ちゃんは、いくら俺たちがもう少し自分の時間を大切にしてって言っても、聞いてくれないんだ｣

｢そうなんですか｣



それは、きっと。
一ノ瀬くんなりに、お母さんの言葉を想いを護ろうと必死なのですよね。
でも、そうやって無理をしてまで頑張ることが、お母さんの思いなんでしょうか？




・・・一ノ瀬くんが頑張っているのに、私がそんな事言えませんよね。





｢音ちゃんって、兄ちゃんの事好きなの？｣

｢・・・・はい？｣





結斗くんがまっすぐ私を見つめそう言った。
私が、一ノ瀬くんを・・・？


｢え・・・？あの、・・・一ノ瀬くんの事は、好きですけど、結斗くんや冬深ちゃん、琴心ちゃんの事も好きですよ？｣

｢そうじゃなくて、そういう好きじゃなくて｣

｢そういう・・・好き・・・？｣




そういう好き、というのは・・・・。
私が、一ノ瀬くんの事を、おと、おと、男の人として好きかという事でしょうか？





｢音ちゃん、顔真っ赤｣



からかうように言う結斗くんに、私は頬を両手で隠した。