音ちゃんにお任せ
「大丈夫です、ちょっとびっくりしただけで・・・、私は大丈夫ですから」
「でも」
「本当に、大丈夫です。結斗くん・・・少し悩んでたみたいで、それで・・・きっと、それで動揺していたんだと思います」
そうだ。
結斗くんは彼女と別れたばかりで、傷ついてた。
だから、あんなことを。
「本当に、大丈夫なのか?」
「はい」
「だったら、こっち向いてくれ」
「・・・」
向けるわけない。
だって、私酷い顔をしている。
この顔を見られたら、気づかれてしまう。
「綾瀬」
「できませんっ」
「大丈夫じゃねぇってことだろ!」
一ノ瀬くんに腕を引かれ振り向かされる。
見えなかった一ノ瀬くんの姿が目の前に見えて。
私は一層涙をあふれさせた。