音ちゃんにお任せ
一ノ瀬くんの憂鬱
「お前、何してんだよ!」
「・・・見てわかんないの?音ちゃん押し倒してたんだよ」
「そんなこと聞いてるんじゃねぇ!」
「さっきのは、冗談だったけど・・・。・・・俺、音ちゃんの事好きになるかも」
・・・。
俺は、深いため息を吐く。
「どうしたの、瑞己。なにか考え事?」
「あ・・・、いや。別に」
「いいけど、ちゃんと休んでるの?夏休み、かなりシフトいれまくってるでしょ?」
今は、カフェでのバイト中。
カフェのわりに時給がいいからと始めた。
愛想がないと言われながらも、なんとか続けている。
バイト仲間の中村由紀子がため息の多い俺を心配して声をかけてくる。
こいつは、俺と同じころにこのバイトを始めたため、そこそこに話せる仲。
「あー、入れれる時に入れとかないと学校始まったらまた稼げなくなるし」
「そういう事情は仕方ないけどさ、あんま無理してると倒れるよ」
「ああ。心配どーも」
いい意味でも悪い意味でもおせっかいな奴だ。