音ちゃんにお任せ
「瑞己の笑顔って、ほんと嘘くさいわよね」
「は?」
「働いてる時の笑顔よ。爽やかに笑ってるつもりだろうけど、作ってるの丸わかり」
「・・・しかたねぇだろ。愛想笑いなんて、苦手なんだから」
金のためにそれをどうにか絞り出してんだっつの。
俺は、裏方がよかったのに、人手が足りないとかでホールに出さされて。
こっちは迷惑してるんだ。
「ホールに出さされた理由、人手不足だけじゃないわよ」
「は?だったらなんだってんだよ」
「顔」
サラリと由紀子がそう言う。
・・・はあ?
「瑞己、かなりイケメンだし、知ってる?瑞己目当てで来てる女の客最近多いのよ」
「しらねぇよ。興味ない」
「でしょうねー。話しかけ辛いオーラ出しまくってるから、誰も声かけられないだけで、あんた、狙われてるわよ」
他人事みたいに面白そうに話す由紀子に腹が立つ。
なにがイケメンだよ、俺目当てってバカバカしい。
俺の顔だけ見て、いい、とかバカにしてんのか。