音ちゃんにお任せ
「わあ!おむらいすだっ!こと、だいすきっ」
喜んでくれた様子の琴心ちゃんにホッと胸をなでおろす。
この笑顔だけで、許されたような気になってしまう。
「おとちゃんは?」
「私は、お家で食べるので大丈夫なのです」
「おとちゃん、ありがとう!」
「はい」
全部完食してくれた琴心ちゃん。
まっさらなお皿がとても嬉しい。
田舎の実家を出て、高校から一人暮らしを始めた私。
誰かのための料理は初めてだ。
「では、冬さんにもおかゆを持っていってきますね」
「こともいく!」
「琴心ちゃんにお熱がうつってはいけないので、待っていてください」
「・・・はあい」
納得した様子で、琴心ちゃんは絵本を開いて読み始めた。