音ちゃんにお任せ
「学校で、瑞己どうなの?モテるでしょ?」
「はい・・・。隠れファンは多いと思います」
「隠れ?」
「一ノ瀬くん・・・、あまり人と関わろうとしないので。少し・・・怖い存在みたいになっているというか・・・」
本当は違うのに。
誤解を解きたいのに、解く方法がわからないのです。
こんな事、由紀子さんにしてもどうにもできないですよね。
「すみません。忘れてください」
「んー確かに、ここで働いてる時の笑顔って、嘘くさいんだよね。無理して笑ってるっていうか。もともとはキッチンの方でって面接うけてたみたいだし」
「働いている時の一ノ瀬くんは、なんだか普段と違って新鮮でした」
あんな風に、笑って接客ができるんだと。
でも、すぐに愛想笑いだって気づいて寂しくなりました。
「でも、お金のためにって割り切ってるみたいだしね」
「・・・はい」
「そっかー。瑞己の代わりに来るって聞いてさ、他のバイトの子とか彼女?って騒いでるのよ」
「ええ!?」
「そういう話、しないから。いろいろ噂がね」
そうだったんですか・・・。
私、迷惑だったでしょうか。
そんな噂を建てられて、これから一ノ瀬くんが働きづらくなってしまったら。
考えなしでした・・・。