音ちゃんにお任せ



気怠そうに歩いてやってきている姿を見て、ホッと一息。
私は前を向いて、先生の話に耳を傾ける。



しばらくして、一ノ瀬くんが教室に入ると、先生は一言注意をしそんな注意も右から左の一ノ瀬くんはまっすぐに私の隣に座る。





「おはようございます」



小声で挨拶をすれば、ちらりと一ノ瀬くんの視線がこちらに向く。



「ああ」




ぶっきら棒にそう告げられ視線はすぐにそらされる。
いつもの事。


でも、こうして返事をしてくれるのだから、あながち悪い人ではないのです。




一ノ瀬瑞己くん。
目つきが鋭く、口数の少ない彼はあまり友だちといるところを見ません。
誰かが、一ノ瀬くんの事を一匹狼と称していましたが、本当にそんな感じでいつも一人で澄ましているのです。



そして、なによりいつだって眠そうで授業中ほぼ寝ているという心臓のお強いお方。
なにしに学校に来ているんだろうと、小一時間問い詰めたくなります。






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