音ちゃんにお任せ
「・・・いろいろと、すいません」
「いえ、こちらこそ。見知らぬ私が家の中をうろうろしてしまって・・・」
冬さんにおかゆを持っていき、ベッドに身体を起こしてもらい渡すと申し訳なさそうに頭を下げられ恐縮する。
「冬さんは、このご家族のお母さん的存在なんでしょうね」
「冬深です・・・」
「冬深さんでしたか」
「ことに、聞きましたか?」
「すみません。お母さんがお空にいることと、お父さんが外国にいらしていると・・・」
深入りするつもりはなかったんですけど、と付け足すと冬深さんは笑って首を横に振った。
「父は、写真家なんです。数か月に一度は帰ってくるんですけど、基本家にはいなくて」
「そうなのですか・・・。寂しいですね」
「私たちが、決めたことなので。お母さんが亡くなった時、父は写真家をやめて家にいることを決めようとしてたのを、私たちが背中を押したんです」
「・・・そうなんですか?」