音ちゃんにお任せ



「・・・あんたって、バカだよな」




落ち着いた一ノ瀬くんが不機嫌そうに私に背を向けて寝ころびながらそんな言葉を吐く。
バカ・・・。
バカなのは認めますが、今までのなにでそう感じさせてしまったんでしょうか。



「・・・見当違いなこと言ってましたか?」



そうだとしたら恥ずかしい。




「あんたの言うとおりだった。・・・本当は、バイトなんてする必要ないんだ」

「え・・・?」

「親父がちゃんとお金は送ってくれてるし。でも・・・。俺が、母さんに頼まれたのにって、変なプライドがあって。・・・無理して頑張ってる自分に酔ってたのかも」

「・・・でもそれは、皆の事を想ってしたことで。無駄なことではないと思います」

「どうかな。・・・まぁでも。バイト、減らす。あいつらにも心配かけるわけにいかないし」

「・・・はい」




少しでも、力になれたのでしょうか。
私は、思い込みで突っ走ってしまう所があるみたいで。
一ノ瀬くん相手には特に。

なんでだろう。
落ち着かないんです。


一ノ瀬くんが、悩んでるとか、悲しんでるとか。



そういうのが、一番。




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