音ちゃんにお任せ
病室を出るとそこには、結斗くんが立っていました。
「結斗く・・・・」
「・・・ごめん。見るつもりなかったんだけど」
「見る・・・?」
「音ちゃんと兄ちゃんが抱き合ってるの・・・」
ハッとして目を見開いた。
そこを見られていたのですか!?
「あ、あの、私・・・。別に、一ノ瀬くんとは・・・」
「・・・ちょっと、ショックだったけど。なんか、兄ちゃんなら仕方ないかなーって」
「え・・・?」
「俺、ブラコンだから」
そう言って笑う結斗くん。
「少し、本気になりかけてたのになー」
「結斗くん・・・、あの。彼女さんと、もう一度話し合われた方が」
おせっかいな話だ。
結斗くんの気持ちを、疑うわけではないけれど。
そうやって、逃げようとしているわけでもないけれど。