音ちゃんにお任せ



「写真を撮っている父が、父が撮っている写真が好きだからやめてほしくなくて」

「・・・いつか、見てみたいです」

「はい!ぜひ、見てください!」




輝いた瞳が私を見る。
熱で少し火照った頬。
お父さんをとても好いていることが伝わってくる。


琴心ちゃんを見ても感じたけれど、とても暖かい家族だ。




「だから、今は兄妹4人で暮らしてて・・・。一番上の兄が私たちの面倒を見てくれてるんです」

「そうだったんですね・・・」

「すみません、こんな話聞かせてしまって」

「いえ」




空になった器を受け取り、冬深さんに布団をかける。




「そういえば、その制服・・・」

「はい?」

「成徳高校の制服ですよね?」

「そうです。私、そこの生徒なんです」

「兄も、そこに通ってるんです」




なんていう偶然。
一番上のお兄さんが面倒見ているっていう事は、きっと社会人だろうから。
琴心ちゃんがいっていたゆーくんって人のことかしら。




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