音ちゃんにお任せ
「ちょっと来い」
「あ・・・」
「すみません、オーナー、こいつ借ります」
「瑞己さんっ!?」
「手短にねー」
飯島さんが呼ぶ声と、能天気なオーナーの声を背にうけながら私はバックヤードに連れ込まれた。
バタン、と扉を閉めると騒々しさは消え、静けさが漂う。
「一ノ瀬くん・・・」
「化粧、そういう事かよ」
「あ・・・、接客だからと・・・、由紀子さんが教えてくれて・・・」
恥ずかしい、こんな姿。
一ノ瀬くんに見られたくないです。
俯いて手で顔を隠すようにする。
「はあー」
一ノ瀬くんの大きなため息。
迷惑、でしたよね。
こんな事・・・。
私なんかがでしゃばるべきではありませんでした。