音ちゃんにお任せ
「・・・私は、一ノ瀬くんの力には、なれないのですか?」
「なんで、そこまでしてくれようとするんだ?」
なんで・・・?
理由なんて・・・。
「綾瀬がくると、あいつらは喜ぶし、綾瀬も好いてくれてるってわかってる。だから、家に来てくれるのは構わない。でも、こういう事はやめてくれ。俺の事は、気にしてくれなくていいから」
「いち・・・」
「迷惑だ」
真っ直ぐと告げられた思いはひどく冷たく。
私の胸に突き刺さる。
眩んでしまいそうになる身体を抑え、私は一歩二歩と後ずさる。
「ごめんなさい・・・、勝手なことして・・・。もう、しませんから・・・。でも、今日は・・・あと1時間は、迷惑をかけたくないのでやらせてください」
一ノ瀬くんの顔が見れない。
手が、身体が、震えて。
私は、そこから飛び出した。