音ちゃんにお任せ
「おとちゃんっ」
今日は、一ノ瀬家の日です。
甘えてくる琴心ちゃんを抱き上げソファに座ると絵本を開く。
絵本を読んであげるお約束なのです。
あれからバイトは一ノ瀬くんがオーナーと話してとりあえず、行かなくてもいいということになりました。
オーナーにはお礼を言われましたが、中途半端で投げ出してしまったようで申し訳ないです。
「おしまい。・・・はい」
読み終わった絵本を琴心ちゃんに手渡すと、嬉しそうににこにこ笑って自分の膝に置き再び開いて見始める。
絵を楽しんでいる様子を少し眺めて、私は料理の方に取り掛かります。
一ノ瀬くんは、ここに来ることは許可してくれているようです。
でも、本当は迷惑だと思っているんでしょうか・・・。
「ただいまー」
「あ、おかえりなさい。冬深ちゃん」
「あ、音ちゃんただいま!」
帰ってきた冬深ちゃんを迎えると、冬深ちゃんは鞄を置きに2階に上がり再び降りてきた。