音ちゃんにお任せ



「では、帰りますね」

「ありがとう、音ちゃん!」

「はい。おやすみなさい」



片づけを済ませ、荷物を纏めると冬深ちゃんに声をかけ玄関に向かった。
今日のお手伝いもこれでおしまいだ。
あまり遅くなると一ノ瀬くんが心配するから8時半くらいには帰ることにしている。

その時、丁度玄関が開き一ノ瀬くんが帰ってきた。



「あ・・・。おかえりなさい」

「・・・ああ」




一ノ瀬くんは、私から目をそらし素っ気なくそう言った。
私は肩を落とし一ノ瀬くんの横を通り過ぎる。
すっかり、嫌われてしまったみたいです。



「お邪魔しました」



小さくそう言って玄関を出た。
小さくため息を吐き歩き出した私は、すぐに忘れ物をしたことに気づいた。



「いけない、携帯・・・」



一ノ瀬くんのリビングで出したまま持って帰るのを忘れていた。
慌てて一ノ瀬くんちに戻る。

チャイムを鳴らそうと思ったけど、さっきの事だったからとそのまま中に入った。



< 222 / 290 >

この作品をシェア

pagetop