音ちゃんにお任せ
いつもの眼鏡ではなく、由紀子さんと作りに行ったコンタクトで、軽く化粧をしました。
こぎれいにしていた方が、印象はいいでしょうし。
ああああ、緊張です。
「音ちゃん、可愛い!」
玄関まで迎えに来てくださった冬深ちゃんが私を見て笑う。
変ではないでしょうか。
この先に、お父様はいらっしゃるのですね。
玄関には、今まで見たことのない大きな男物の靴。
一ノ瀬くんのモノではない、これがお父様の靴なんでしょう。
それを見た途端、現実味がまし緊張感が高まります。
「いらっしゃい、音ちゃん」
「お邪魔します」
いつもより、ぎこちない挨拶で中にはいる。
リビングの扉が開かれ中に通される。
「お父さん、音ちゃんが来たよ」
「ああ。君が音ちゃんかい?初めまして。父です」
「お、お初にお目にかかります!綾瀬音と申します。いつも、皆さんにはお世話になりまして!」
深々と頭を下げた。