音ちゃんにお任せ
「そんな固くならずに。私は、いつも電話で聞く音ちゃんという人がどんな人なのか、とても楽しみだったんですよ」
「え・・・」
「みな、とても楽しそうにあなたの話をしてくれるので。一目あってみたかったんです。いつも、子どもたちがお世話になっているようで、ありがとうございます」
「そ、そんな私は・・・」
一ノ瀬くんのお父さんは、優しそうな垂れ下がった目に、薄い唇は嬉しそうに弧を描いていて。
優しさがすべてからにじみ出ているような人だった。
優しそうな、穏やかそうな人。
そんな印象を受けた。
「お父様は、写真家さんでいらっしゃるんですよね?」
「ああ、そうなんです。自然を相手にしたカメラマンをしてるんです」
「素敵です。よければ、写真を見せていただけませんか?」
私がそう尋ねると、お父様は鞄を取り出し、できたばかりという写真を見せてくれた。
真っ青な空。
広がる海。
羽を広げた鳥。
美しい写真の数々を見て、私は目を輝かせた。
美しい。
その言葉がとても似合う写真。
こんな素敵な写真を撮っている方なんだ。