音ちゃんにお任せ
「も、もしかして、琴心ちゃんのお兄さんのえ、ゆうくんさんですか?」
「ゆうくんさんってなに」
「え、だって。琴心ちゃんがにいにとゆーくんっていうお兄さんがいると。で、冬深さんも、私と同じ学校に通ってるお兄さんがいて、え?」
でも、なんで瑞己なのにゆうくん?
「落ち着け。てか、俺はゆうくんじゃねぇ。それは弟だ」
「弟・・・。え、じゃあ、もしかして一番上のお兄さん?」
「・・・どこまで聞いてんの」
「す、すみません・・・。私、てっきり一番上のお兄さんは社会人なのだと・・・」
皆の面倒を見ているとかいうから、きっとそうなんだと思っていました。
じゃあ、一ノ瀬くんが兄弟の面倒を?
「で、あんたはなんでここにいるの」
「・・・あ、私は。あの、たまたま迷子になった琴心ちゃんに出会いまして。そうすれば、冬深さんが熱で倒れていると聞きましたのでおせっかいとは思いましたが・・・」
「・・・熱?」
「はい。とても高くてリビングで倒れておられました。でも、今は部屋まで運びおかゆと薬を飲んでもらって眠っています」
テンパりながらも必死に伝えると、一ノ瀬くんは少しホッとしたように息を吐いた。
心配、しているんだ。
なんだか、一ノ瀬くんのそんな姿を見て少しうれしいと思っている自分がいた。
なんて不謹慎な!