音ちゃんにお任せ
特別な夜
午後11時。
私は一ノ瀬くんと閉店作業をしています。
今日は人手がなく、閉店作業は二人でしているのです。
「ホールはできた」
「こちらも、大丈夫そうです」
一ノ瀬くんは入り口の施錠をし、わたしも片づけを済ませると裏口に回る。
外に出てここを施錠したら終わりです。
「忘れ物ないか」
「えと・・・、はい。大丈夫です」
鞄も持ったし、着替えも済ませました。
ばっちしです。
一ノ瀬くんは、いつも通り。
由紀子さんはあの時、いつもと違う一ノ瀬くんを見たとおっしゃいました。
いつもと違う一ノ瀬くん・・・。
ヤキモチ・・・。
それを、確認する術はありませんね。
私は肩を落とし、裏口に向かう。