音ちゃんにお任せ



「音ちゃん、大丈夫か?瑞己に変なことされなかったか!?」

「え!?だ、大丈夫です!」

「よかった」

「アホか」




一ノ瀬くんのオーナーへの態度が手厳しいです。
オーナーはホッとしたように肩を落とすと店内に入った。





「暑かっただろ。停電したって?」

「ああ・・・。でも、少ししたら復旧したから冷房入れた」

「ああ、いいいい。無事でよかった」




停電が復旧していたことも、冷房の事も知りませんでした。
私、あんな状況じゃ眠れないと思いながら、かなり爆睡だったようです。


は、恥ずかしい・・・。





「とりあえず、お前ら家に帰れ。瑞己は今日出勤だろ?2時間くらい遅れてもいいから寝て来い」

「あ―。いいっすよ。そこそこ寝たし。帰るの面倒なんで、準備手伝います」

「はぁ?大丈夫か?」

「はい。あ、綾瀬」




一ノ瀬くんが思い出したように私に向き直る。
私は背筋を伸ばして向き合った。



< 256 / 290 >

この作品をシェア

pagetop