音ちゃんにお任せ



「瑞己さん、明後日バイト休みですよね?よかったら、買い物に付き合ってもらえませんか?」



バイト前のバックヤード。
飯島さんが、一ノ瀬くんに迫っています。
一ノ瀬くんは面倒くさそうな表情で飯島さんを見る。



「は?」

「私、兄がいるんですけど、今度誕生日でプレゼントを選んでもらいたくって」

「・・・そんなの、他に頼め」

「でも、男の人の好みってやっぱ男の人に頼むしかなくて・・・。私が頼めるの瑞己さんだけなんです!」




甘えるような声で飯島さんは頼み込んでいる。
私は気になりながらも、支度を整えその場を離れた。



なんだろう。
胸がモヤモヤします。


モヤモヤして、チクチクして・・・最近の私はどこかおかしいのです。
手を胸にあて深呼吸をする。

すると、少しだけ落ち着き私は仕事へと足を向けた。




「じゃあ、約束ですよ!」




しばらくするとそんな声と共に、飯島さんと一ノ瀬くんも入ってきた。





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