音ちゃんにお任せ



それからは、なにもなかったようにそれぞれに働き始めた。
でも、飯島さんはとてもご機嫌で、いつもみたいに私に何かを言いつけたりすることはなかった。



モヤモヤ。
チクチク。



消えない。




私は首をかしげながら仕事を続けた。




そして、その日。
私は一ノ瀬家に行く日でした。



夏休み中は昼過ぎにお邪魔している私は、今日も昼過ぎにお宅につきました。
玄関を開けようとした時、丁度出ようとしていた一ノ瀬くんと鉢合わせた。



「あ・・・」

「・・・っ」



一ノ瀬くんは私を見るとハッとしたように目を見開いた。
でも、すぐにその表情はいつもの冷静な一ノ瀬くんのモノに変わる。




「お出かけ・・・ですか?」

「・・・ああ」





一ノ瀬くんはそう言うと、私を通り過ぎ行ってしまった。



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