音ちゃんにお任せ



「・・・・」



私はしばらくその場を離れられませんでした。
思わず、行かないで、と言ってしまいそうな自分がいたことに気づいたのです。


そんな自分に戸惑い、動揺してしまいました。



なんだろう、この感情は。



一ノ瀬くんは、きっと今日飯島さんと会う。
買い物に付き合うのだ。



飯島さんは、一ノ瀬くんの事を・・・。




「音ちゃん?」



いつの間にかしまっていた玄関が再び開かれ顔を出したのは結斗くん。
私はハッとして顔をあげた。




「どうしたの?入っておいでよ」

「あ、はい・・。すみません、ボーッとして」

「ふぅん。大丈夫?」




結斗くんに促されながら中にはいる。
気分をあげようと思うのに、心は沈んだまま。





< 263 / 290 >

この作品をシェア

pagetop