音ちゃんにお任せ
音がして、顔を上げる。
リビングに入る扉が開かれ、そこに見えたのは待ち焦がれた一ノ瀬くんでした。
私は思わず立ち上がる。
「綾瀬・・・?なんだ、まだいたのか?」
一ノ瀬くんが驚いたように声を上げた。
ズキン。
迷惑、だったんでしょうか。
唇を噛みしめる。
ああ、嫌だ。
こんな醜い自分を一ノ瀬くんに見せたくはないのに。
「・・・泣いてるのか?」
一ノ瀬くんの姿を見たことで再び溢れだした涙。
私は顔を俯かせる。
「どうした?なんか、あったのか?もしかして、あいつらとなんか・・・」
怪訝そうな顔で覗き込む一ノ瀬くんに私は首を横に振る。
涙の滴が散り散りに弾けた。