音ちゃんにお任せ
お別れを言う時間もとれなかったことを詫びると許してくれ、離れていても友だちだと言ってくれました。
それだけで、私は十分幸せなのです。
「ごめんね、学校まで転校させちゃって」
「いいの。少しでも近い方が通いやすいので。私だって、家族なんだから、家族のピンチには支え合わないと」
「ありがとう、音」
お母さんは、少しやつれていました。
夫婦仲がとてもよく、いつも微笑ましく思っていた二人。
お父さんが倒れたことは、お母さんにはとてもショックだったんだと思います。
命に別状はなかったとはいえ、治療していかなければいけないし入院生活も続きます。
少しでも私が支えにならなければ。
「家の事は、私に任せてください。お母さんは、お父さんの事を支えてあげてくださいね」
「本当に、ありがとう」
早くお父さんにも元気になってもらわなければいけません。