音ちゃんにお任せ



「お、俺、そんなつもりで来てってお願いしたんじゃないよ?ほんとに、ことと遊んでくれたら助かるなって」

「わかってますよ。ですが、せっかくなのでやらせてください」

「じゃあ、手伝う」

「いいえ。お兄さんが言っているように、お二人は、中学生活というものを精一杯謳歌してください!そのために、私がいるんです!」




一ノ瀬くんが守りたいものを、少しだけお手伝いしたい。
一ノ瀬くんが、一人で背負いこんで頑張っているのはきっとそう言う意味があると思うから。


多感な時期を家の事に追われて、楽しいことも興味があることも手が伸びなくて。
そんなの、悲しいじゃないですか。




「こういう事は、できる人がすればいいんです。私は、将来、料理の道に進みたいと思っているので、丁度いいのです」

「そうなの?」

「はい!勉強だと思って、頑張ります!」





きっと、友だちとの遊びも、勉強も、思う通りには行っていないと思うから。
少しでも、思い通りに進むように。

なんて、本当におせっかいですね。


それでも。




「これも、なにかの縁ですから」





縁は大切にしないと、いけませんよね。






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