音ちゃんにお任せ
「あ、あの。ご飯作っているので、温めて食べてくださいね」
「・・・あんたさ」
「はい」
「なんでそんなことまでしてんの?」
「あ、すみません・・・。迷惑ですよね」
そうでした。
もともと一ノ瀬くんは、反対していたのに。
それを私が無理やり・・・。
それに、一ノ瀬くんが許してくれたのは琴心ちゃんの相手をすることであって・・・。
「そんなことして、あんたになんのメリットがあんの」
「メリットですか・・・?」
メリット・・・メリット・・・。
「そんなこと考えたことありませんでした…」
「・・・は」
「ですが、しいて言うなら、温かいです」
「・・・は?」
「ご飯を食べてくれる人がいて作る料理は、温かいです。皆さんの笑顔を見ていると、心が満たされるんです」
きっとそう。
しいて言えば、そうなのかもしれない。