音ちゃんにお任せ



「山登り?」

「はい」

「へー、なんか面倒くさそう」




今日も一ノ瀬家にやってきた私はコツコツと料理を仕上げていく。
今日は冬深ちゃんはお友達との予定があるそうで遅くなるとのこと。
ですから今日は、結斗くんと琴心ちゃんの3人です。
私が料理をしている間、結斗くんはリビングで琴心ちゃんの相手をしてくれています。
その傍ら、こうして私とも会話をしてくれているのです。
なんていい子。




「やっぱり、兄弟ですね」

「ん?」

「きっと、一ノ瀬くんも同じように言うと思います」




私がそう言うと、結斗くんは少し嬉しそうに笑って、そうかな、と呟いた。




「ですが、そうじゃない人もいるみたいなんですよ」

「そうじゃない人?」

「はい。なんでも、その山登りで毎年何組もカップルが誕生しているとか」

「へぇー」




一ノ瀬くんファンの子たちも、なんだかそわそわしていたようですし。
山登りでなにか・・・を期待しているんでしょうか。





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