音ちゃんにお任せ
「じゃあ、音ちゃんも頑張らないとね」
「え?私ですか?」
「ねぇ、音ちゃんって、兄ちゃんとどうなの?」
「え?一ノ瀬くんとですか・・・?」
どう・・・、というのは。
質問の意図がわからず答えに困る。
「好きな人いないって言ってたけどさ、うちに来てくれるのって、兄ちゃんの事が好きだからなのかなって」
「えっ」
ドクン、と胸が鳴る。
な、なんでしょうかこれは。
ガチャ。
その時、リビングの戸が開く音がして一ノ瀬くんが入ってきました。
「い、い、一ノ瀬くん!」
「・・・なに」
怪訝そうな顔をした一ノ瀬くんが私を確認する。
しまった、つい声が上ずってしまいました。
「お、おかえりなさい」
「ああ・・・。今日もごくろうさま」
一ノ瀬くんは、あれから私がいようとなにも言わなくなりました。
認めてくれたという事でしょうか。