音ちゃんにお任せ
一ノ瀬くんは真剣に私の指先に視線を落とす。
音を立てて流れる水が、私の指先を冷やしていく。
それでも、なぜだか私の身体はポカポカと熱を帯びていく気がした。
「ドジ」
「え、あ、す、すみません」
「気をつけろよ。結斗、薬塗ってやれ」
一ノ瀬くんはパッと私の手首を放すと呆れたようにそう言ってレンジからお皿を取り出した。
「えー、兄ちゃんしてあげなよ」
「腹減った」
「い、いいです。自分で・・・」
「いいよ、音ちゃんここおいでよ」
結斗くんにて招かれ私は戸惑いながら結斗くんの側に。
結斗くんが座っていたソファの前に座る。
救急箱の中から薬を取り出してきてくれた結斗くんは私の前に座って体を乗り出した。
「指、出して」
そう言われておずおずと手を差し出した。
ふと見れば、琴心ちゃんは遊び疲れたのかソファの上でぐっすりと眠っていた。