音ちゃんにお任せ
チューブから薬を指先に取り、私の指に優しく塗り込んでいく。
その目は真剣で伏せられた瞳から伸びるまつ毛は男の子なのにとても長くてきれいだった。
本当に、整った顔をしているなぁ・・・。
「はい、できたよ。薬塗ったから絆創膏貼っとくね」
「ありがとうございます」
どういたしましてとにっこりと笑った結斗くん。
思わず見惚れてしまって慌てて目をそらす。
「わ、私、帰りますね!」
なんだか居たたまれなくなって立ち上がる。
鞄をひったくるとパタパタとリビングの扉の前まで走る。
「もうちょい待て」
「っえ」
「送ってく」
当たり前のようにそう言われ、私は戸惑いながらも「はい」と答えていた。
動転していた心を落ち着かせ、リビングに戻るとすとんと座り込む。